この秋、注目の2マン・ライブがある。
池上本門寺で毎年行われているイベント“Slow LIVE`2016”の初日、9/2にトータス松本と田島貴男が登場。熱いライブを繰り広げる。
実はこの二人、1966年生まれで今年50歳になる同級生だ。デビューは田島が1年先輩で、ORIGINAL LOVEは今年25周年、ウルフルズは来年25周年を迎える。「バンザイ」のヒットからは20年が経つそうだ。
両者ともにデビューは東芝EMIなのにも関わらず、ずっと縁がなかったという。初めて接点を持ったのが10年前というから、15年近い空白があったわけだ。
僕はどちらもインタビューしていたので、音楽的にもソウルやR&Bをルーツに持っていて、共通点がたくさんあるのが分かっていたから、この“空白”が意外だった。
とはいえ、バンドブームの流れの中で活動していたウルフルズと、渋谷系のORIGINAL LOVEは、イメージとしてかけ離れていたから、そんなこともあるのだろう。
音楽評論家をしているから、ジャンル分けのメリットとデメリットは知っている。残念なことも多くある。トータスと田島も、下手をすれば出会わずに終わる可能性もあった。
しかし、彼らはイベント“R(ルーツ)66”で知り合い、急速に接近して2マン・ライブが実現することになった。
残念なことより、嬉しいことの方が多いのがいいに決まっている。しかも、自分の関わっている“Slow LIVE`2016”で夢の共演が実現したのは、本当に嬉しい限りだ。
先日、プロモーションのために、二人に対談してもらった。音楽の話もそこそこに、カレーや縁日など音楽以外の話題で大いに盛り上がった。対談後、トータスに「何で空白があったのかな?」とたずねると、「勝手に周りが棲み分けさせてた部分もありますよ。それ以上に、お互い自分たちのことで精いっぱいだったし」と答えてくれた。
25年間、一線で精いっぱい走り続けてきた二人は、成功を収め、ボーカリストとしていよいよ円熟してきた。そんな時期に出会った二人が、音楽以外の話で盛り上がる。これはきっと彼らが本当の意味でのソウルブラザーズであることの証なのだろう。そんな彼らのパッションが爆発する、本門寺のライブを心待ちにするとしよう。